自宅のリースバック契約トラブル|「そのまま住み続けられる」に潜む落とし穴
「自宅を売ってもそのまま住み続けられる」と勧められるリースバック契約。家賃の値上げ・売却額の安さ・クーリングオフ不可など、国民生活センターの相談事例をもとに契約前に確認すべきポイントを図解で整理します。
「自宅を売ってもそのまま住み続けられる」——その言葉の裏で、住み続けるあいだずっと家賃を払い続ける契約だということは見落とされがちです。 国民生活センターは2026年8月4日、自宅の売却と賃貸借契約を同時に結ぶ「リースバック」契約のトラブルについて注意を呼びかけました。
相談事例|「話が違う」と感じたときにはもう遅い
公表された相談事例には、共通するパターンがあります。
- 生活が苦しく自宅を約1000万円で売却し家賃7万円の賃貸借契約をしたが、数年後に貸主から家賃を約10万円へ値上げすると言われ、応じなければ退去するよう迫られた
- 訪問してきた業者にリフォーム工事を契約させられ、支払えないと言うと別の不動産業者を紹介され、よく分からないままリースバック契約で自宅を売却してしまった
- 自宅を買い戻したいと申し出たところ、売却額の5倍近い金額を提示された
いずれも「そのまま住み続けられる」という説明を信じて契約した後に、想定していなかった条件を突きつけられる形です。
家賃は「住み続ける限り」払い続ける
リースバックは自宅の売却と賃貸借契約を同時に結ぶ仕組みです。売却した瞬間にまとまった現金が入りますが、その家に住み続ける限り家賃の支払いは続きます。住む期間が長くなれば、家賃の総支払額が売却で得た金額を上回ってしまうこともあります。「お金がないからリースバック」という動機だけで契約すると、結局その後の家賃の支払いに行き詰まるおそれがある点に注意が必要です。
売却価格が相場より安く設定されている、家賃が相場より高く設定されている、賃貸借契約の更新や再契約を拒まれる——こうした事例もあわせて報告されています。契約前に、賃料の見直し条件・契約期間・更新の可否を書面で確認することが欠かせません。
自宅の売買にクーリング・オフは使えない
ここが最大の注意点です。消費者が不動産業者に自宅を売却する取引には、宅地建物取引業法のクーリング・オフが適用されません。いったん売買契約が成立すると、無条件での解除はできず、売主が解除する場合は手付金の倍額を買主に支払う「手付倍返し」が必要になり、手付解除ができる期間を過ぎれば、ほとんどの場合、契約書の条項にもとづく違約金の支払いが必要になります。不動産取引は金額が大きい分、違約金も高額になりがちです。「契約書にサインする前」が、実質的に後戻りできる最後のタイミングになります。契約全般の確認ポイントは契約前に確認すること、クーリング・オフの制度そのものはクーリングオフの基本で整理しています。
契約前にできる4つの確認
- 家賃の条件を書面で確認する——将来の値上げの有無、更新拒否の条件が契約書に明記されているかを確認します。
- クーリング・オフは使えないと知っておく——契約後の取り消しは原則できません。急かされても即決しないことが最大の防御です。
- 複数社で査定と条件を比較する——1社目の提示額・家賃が相場に見合っているかは、比べてみないと分かりません。
- リフォーム契約と切り離して考える——「リフォーム代が払えないならリースバックで」という勧め方には要注意です。工事代金の肩代わりが目的化していないか立ち止まりましょう。
高齢の家族が「お金がない」「リフォームしたい」といった相談を持ちかけられている場合は、契約前に家族や消費生活センターに一声かけるよう伝えておくと安心です。離れて暮らす親への備え全般は高齢の親を詐欺・災害から守る準備にまとめています。
困ったときの窓口
不安を感じたとき、契約してしまって困っているときは、**消費者ホットライン188(いやや!)**で最寄りの消費生活センターに相談できます。契約するかどうか迷う段階でも、契約後にトラブルになった段階でも、一人で判断せず早めに相談することが被害を広げないための一番の対策です。
情報の正確性について:掲載内容は国民生活センターが2026年8月4日に公表した情報にもとづく一般的な知識です。個別の契約内容の是非については、消費生活センターや弁護士等の専門家にご確認ください。
消費者トラブル全般の相談先は消費者トラブルの相談先、クーリング・オフが使えない取引の別の例は店頭買取トラブル対策も参考にしてください。節約カテゴリの記事一覧は節約からどうぞ。
この記事を書いた人
図解手帖編集部 編集部
暮らしの実用情報を1枚図解+解説でお届けする編集部です。公式・一次情報を出典に、断定を避けた正確な情報発信を心がけています。
よくある質問
- リースバック契約はクーリング・オフできますか?
- 自宅を不動産業者に売却する契約には、宅地建物取引業法上のクーリング・オフが適用されません。いったん契約が成立すると無条件での解除はできず、売主から解除するには手付金の倍額を買主に支払う「手付倍返し」が必要になり、その期間を過ぎればほとんどの場合、契約条項にもとづく違約金の支払いが必要になります。安易な契約は避けましょう。
- リースバックで住み続けられる期間はどれくらいですか?
- 契約内容によります。定期借家契約では契約期間の満了で更新されず退去を求められることがあり、普通借家契約でも家賃の値上げに応じられなければ住み続けるのが難しくなるケースが国民生活センターに報告されています。契約前に借家の種類と更新・値上げの条件を確認してください。
- リフォーム代が払えないと言われてリースバックを勧められました。契約すべきですか?
- 慎重に検討してください。国民生活センターは、高額なリフォーム工事を契約させた業者が「支払えないならリースバックで」と勧めるケースを問題視しています。リフォームで物件の価値が上がるわけではなく、売却後は他人の所有物になった住宅の工事費用を払わされる形になるため、リフォームとリースバックは切り離して考えるべきとされています。
出典・参考情報
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