竜巻の強さ「JEFスケール」とは|JEF0〜JEF5の風速と被害の目安
ニュースで見る「JEF3」「風速約75m/s」は何を意味するのか。気象庁が使う日本版改良藤田(JEF)スケールの6階級と風速の範囲、階級ごとの被害の目安を公式資料に沿って図解で整理しました。竜巻の強さは風速計ではなく被害から推定される仕組みも解説します。
ニュースで「JEF3、風速約75メートル」と聞いても、それがどのくらいの強さなのかは伝わりにくいものです。この数字は風速計で測った値ではなく、壊れ方から逆算した推定値です。仕組みを知っておくと、報道の一行から自分の家の被害イメージまで結びつけられます。
竜巻の強さは「被害の跡」から決める
竜巻は発生範囲が数十〜数百メートルと極めて狭く、続く時間も数分です。そのため、ちょうどその場所に風速計があることはまずありません。
そこで気象庁は、突風による災害が起きると**気象庁機動調査班(JMA-MOT)**を現地に派遣し、何がどう壊れたかを調べます。「被害指標(何が)」と「被害度(どうなった)」の組み合わせから風速を推定する——これが竜巻の風速の決まり方です。
つまり公表される風速は、観測値ではなく評定値です。「約75m/s」のように「約」が付くのはそのためです。
JEFスケールは日本の建物に合わせた改良版
世界で広く使われてきたのは、米国のフジタ博士が考案した藤田(F)スケールです。ただし日本で使うには3つの弱点がありました。
- 米国の建築物を前提にしていて、日本の家屋の壊れ方と合わない
- 判定に使える被害指標が9種類しかない
- 風速の幅が広く、大まかにしか決められない
そこで気象庁は**日本版改良藤田スケール(JEFスケール)**を2015年12月に策定し、2016年4月の突風調査から使っています。被害指標は住家や自動車を種別ごとに細分し、日本でよく見かける自動販売機や墓石も加えて30種類に増えました。2024年4月には船舶が追加され、現在は31種類です。
JEF0〜JEF5:風速と被害の目安
階級は6段階です。風速は3秒平均で表されます。
| 階級 | 風速(3秒平均) | 主な被害の目安 |
|---|---|---|
| JEF0 | 25〜38m/s | 飛散物で窓ガラスが壊れる。物置が移動・横転。自動販売機が横転。鉄筋なしのブロック塀が倒れる |
| JEF1 | 39〜52m/s | 屋根ふき材が広い範囲ではく離。軽自動車やコンパクトカーが横転。走行中の鉄道車両が転覆 |
| JEF2 | 53〜66m/s | 木造住宅の壁がゆがみ・ひび割れ。ワンボックスや大型自動車が横転。鉄筋コンクリート製の電柱が折れる |
| JEF3 | 67〜80m/s | 木造住宅が著しく変形または倒壊。鉄骨系プレハブ住宅の外壁材が浮き上がる。アスファルトがはく離・飛散 |
| JEF4 | 81〜94m/s | 工場や倉庫の大規模な庇(ひさし)で、広い範囲の屋根ふき材がはく離・脱落 |
| JEF5 | 95m/s〜 | 鉄骨系プレハブ住宅や鉄骨造倉庫の上部構造が著しく変形または倒壊 |
注目したいのはJEF0の段階ですでに物置が横転することです。25m/sは台風接近時に珍しくない風速ですが、竜巻の場合は一点に集中するため被害の出方が違います。
実際の事例:国内最大級はJEF3
気象庁は2026年8月28日、前年(2025年)9月5日に静岡県で発生した突風の調査報告書を公表しました。
- 静岡県内7か所で突風を確認。牧之原市から榛原郡吉田町にかけての竜巻は風速約75m/s(JEF3)と推定され、1961年以降に国内で発生した竜巻としては最大級
- 牧之原市〜吉田町および焼津市では、曲線的な帯状の被害域が重なり合っており、多重渦竜巻を含む複数の竜巻が発生したことが示唆される
- 気象研究所のレーダー解析で、竜巻より大きな直径0.6〜2km程度の渦を確認
国内ではJEF4・JEF5に相当する事例は確認されていません。裏を返せば、日本で警戒すべき上限はJEF3クラス=木造住宅が倒壊する強さということになります。
この数字を暮らしにどう使うか
階級を覚えること自体が目的ではありません。使いどころは2つです。
① 報道の意味を読み替える。 「JEF1の竜巻」と聞いたら、車が横転し屋根材が飛ぶ規模だと分かります。片付けや外出の判断が具体的になります。
② 家の弱点を先に潰す。 JEF0〜JEF1で壊れるのは、物置・カーポート・ブロック塀・窓ガラスといった建物の外側です。ここは平時に手を入れられます。窓まわりの補強は台風前の窓ガラス対策が、家の中の対策は家具の固定方法がそのまま使えます。
そして、竜巻そのものから身を守る行動は事前に決めておくものです。情報が出たときの動き方は気象防災速報(竜巻注意)が出たらに、雷や急な大雨をともなう状況の判断は雷から身を守る方法と警報・注意報の違いにまとめています。
そのほかの備えは防災カテゴリの記事一覧からどうぞ。
出典:気象庁 日本版改良藤田(JEF)スケールとは、気象庁 藤田(F)スケールとは、気象庁 令和7年9月5日に静岡県で発生した突風に関する調査報告書について(令和8年8月28日)、気象庁 竜巻から身を守るには
この記事を書いた人
図解手帖編集部 編集部
暮らしの実用情報を1枚図解+解説でお届けする編集部です。公式・一次情報を出典に、断定を避けた正確な情報発信を心がけています。
よくある質問
- JEFスケールとFスケールは何が違いますか?
- 藤田(F)スケールは米国で考案されたもので、被害の指標が9種類しかなく、風速も幅の広い大まかな推定にとどまりました。気象庁は日本の建築物に合わせて改良した「日本版改良藤田(JEF)スケール」を2015年12月に策定し、2016年4月から突風調査に使っています。被害指標は31種類(2024年4月に船舶を追加)に増え、風速をより絞り込んで評定できます。
- 竜巻の風速は風速計で測っているのですか?
- いいえ。竜巻は範囲が極めて狭く継続時間も短いため、風速計が現場にあることはほとんどありません。気象庁の機動調査班(JMA-MOT)が現地で被害の状況を調べ、「何が(被害指標)」「どうなったか(被害度)」を当てはめて風速を推定します。数字はあくまで推定値です。
- 日本で最も強い竜巻はどのくらいですか?
- 気象庁は2026年8月28日、2025年9月5日に静岡県牧之原市から吉田町にかけて発生した竜巻の強さを風速約75m/s(JEF3)と公表し、1961年以降に国内で発生した竜巻としては最大級だったとしています。JEF4・JEF5に相当する国内事例は確認されていません。
出典・参考情報
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