地震の発生確率の読み方|「30年以内3%」が最上位ランクになる理由
活断層の地震発生確率は「30年以内に3%以上」で最上位のSランクです。低く見える数字が最上位になる理由、S・A・Z・Xの4ランクと「*」の意味、過去の大地震が直前にどう評価されていたかを1枚図解で整理しました。
活断層の地震で示される「今後30年以内に3%」という数字は、直感的には小さく見えます。ですが**この3%は、政府の評価では最上位の「Sランク」**にあたります。低く見える数字が最上位になるのは、活断層が動く間隔が数千年と長いためです。
なぜ「3%」が最上位なのか
政府の地震調査研究推進本部(地震本部)は、「同じ場所で同じような地震がほぼ一定の間隔で繰り返す」という仮定のもとに、地震の発生確率を計算しています。海溝型地震(南海トラフなど)は数十〜百数十年の間隔で繰り返すため、30年という区切りで見ると数十%という大きな値になります。
一方、活断層で起きる地震は発生間隔が数千年程度です。仮に3000年に1回動く断層なら、30年間に動く確率は単純計算でも1%程度にしかなりません。同じ「30年以内の確率」でも、海溝型と活断層型では数字の桁がそもそも違うわけです。この違いを知らずに数字だけを比べると、活断層のリスクを実際より低く見積もってしまいます。
S・A・Z・Xの4ランクと「*」の意味
地震本部は、確率が分かりにくく低く捉えられるおそれがあることから、広報資料でランク分けを導入しています。
- Sランク:今後30年以内の発生確率が3%以上
- Aランク:0.1〜3%未満
- Zランク:0.1%未満
- Xランク:不明(過去の地震データが少なく確率の評価が困難)
さらに、ランクに「*」が付くことがあります。これは地震後経過率が0.7以上であることを示す印です。地震後経過率とは、前回の地震からの経過時間を平均活動間隔で割った値で、1.0になると「平均的な間隔に達した」ことを意味します。つまり「S*」は、確率が高いうえに満期が近づいている断層という読み方になります。
過去の大地震は直前にどう評価されていたか
数字の受け止め方でいちばん参考になるのは、実際に起きた地震の直前の値です。地震本部は次の2例を公表しています。
- 1995年(平成7年)兵庫県南部地震:発生直前の30年確率を求めると0.02%〜8%
- 2016年(平成28年)熊本地震:ほぼ0%〜0.9%
熊本地震にいたっては、Aランク〜Zランクの範囲に収まる数字でした。「確率が小さいから起きない」という読み方は成立しないことを、この2例が示しています。地震本部自身も「地震発生確率値が小さいように見えても、決して地震が発生しないことを意味してはいません」と明記しています。
確率は放っておいても上がっていく
もうひとつ押さえておきたいのが、確率は固定値ではないという点です。想定した次の地震が起きないかぎり、年数の経過とともに確率値は増加していきます。数年前に見た数字が、今も同じとは限りません。
また、断層の長さや最新の活動時期について新しい知見が得られると、評価そのものが見直されます。2026年8月に公表された近畿地域の活断層の地域評価のように、20年ぶりに大きく見直される例もあります。地震本部の長期評価は算定基準日つきで公表されるので、確認するときは基準日と最新版を見てください。
数字を見たあとに家でやること
確率の高低にかかわらず、家庭でやることは変わりません。地震本部も「地震は突然発生し甚大な被害を及ぼす可能性があるため、日頃から耐震補強や家具の固定などの対策を講じておくことが重要」としています。
まずは自宅周辺の揺れやすさと浸水・土砂の危険をハザードマップの確認で把握し、地震が起きたときの行動を家族で共有しておきます。住まいの耐震性が気になる場合は耐震診断の受け方と耐震改修の補助制度を、備蓄はローリングストックと非常用持ち出し袋を確認してください。年に一度の点検は家庭の防災訓練にまとめています。ほかの記事は防災カテゴリから探せます。
この記事を書いた人
図解手帖編集部 編集部
暮らしの実用情報を1枚図解+解説でお届けする編集部です。公式・一次情報を出典に、断定を避けた正確な情報発信を心がけています。
よくある質問
- 「30年以内3%」は低い数字ではないのですか?
- 活断層の評価では最上位のSランクにあたります。活断層で起きる地震は発生間隔が数千年程度と長いため、30年という短い区切りで見ると確率値は大きな数字になりません。地震調査研究推進本部は、この分かりにくさを補うためにランク分けを導入したと説明しています。
- Zランクなら安全ということですか?
- 安全という意味ではありません。地震調査研究推進本部は「Zランクでも、活断層が存在すること自体、当該地域で大きな地震が発生する可能性を示す」としています。またランクに関わらず、日本ではどの場所でも強い揺れに見舞われるおそれがあるとされています。
- 確率の数字は変わりますか?
- 変わります。想定した地震が起きない限り、年数の経過とともに確率値は増加していきます。また、新たな調査で活動履歴の知見が得られた場合にも見直されます。数値は算定基準日つきで公表されるため、最新版を地震調査研究推進本部のサイトで確認してください。
出典・参考情報
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