揚げ物火災の防ぎ方と初期消火
家庭の火災原因の上位を占める「天ぷら火災」。油の加熱しすぎ・水の混入・換気扇の油汚れが3大原因です。やってはいけない消火法(水かけ)と正しい初期消火の手順を図解で整理します。
家庭の火災原因として長年上位に挙げられる「天ぷら・揚げ物火災」。総務省消防庁によると、住宅火災の出火原因としてコンロが毎年上位を占め、その多くが油を使った調理中の失火です。正しい知識と事前準備で防げる火災です。
最重要:油火災に水をかけないこと。
熱した油に水が触れると爆発的に飛び散り、被害が急拡大します。
揚げ物火災の原因と防ぎ方
1. 油の加熱しすぎ(発火点約360〜370℃)
油はおよそ360〜370℃で自然発火します。目安の揚げ物温度(160〜180℃)を超えて放置すると、煙が出て最終的に発火します。
防ぎ方:揚げ物中はコンロから離れない。温度計や揚げ物専用の鍋(温度制御付き)を使う。煙が出始めたらすぐに火を弱める。
2. 水が混入して油が飛び散る
冷凍食品・解凍が不十分な食材・濡れた調理器具から水分が混入すると、油が爆発的に跳ねます。直接の引火はなくとも、跳ねた油がコンロ周辺や換気扇に火をつけることがあります。
防ぎ方:食材は調理前に水分をキッチンペーパーでよく拭き取る。冷凍食品は完全解凍してから揚げる(半解凍での投入は特に危険)。
3. 換気扇の油汚れが引火
換気扇フィルターに油煙が蓄積すると、コンロの炎や熱気が届いた際に引火することがあります。
防ぎ方:換気扇フィルターを月1回程度を目安に清掃する。掃除の手順はコンロ・換気扇まわりの油汚れ対策も参照ください。
4. 消火を誤る(水をかける)
最も危険な誤りが、燃えている油に水をかけることです。熱した油(約300℃以上)に水が触れると、瞬時に蒸発して体積が約1700倍に膨張し、熱した油を広範囲に飛散させます。
正しい初期消火の手順:
① すぐに火を消す(コンロのスイッチをオフ、IHならブレーカーも)
② 濡れたタオルや鍋のフタで覆う(酸素を遮断して炎を消す)
③ 消火できなければすぐに離れて119番(初期消火は1〜2分が限度)
台所に備えておくと安心なもの
- ABC粉末消火器または強化液消火器:油火災に対応。購入の目安・置き場所は家庭用消火器の選び方へ
- エアゾール型消火スプレー(台所用):コンパクトでコンロそばに置きやすい。有効期限を確認する
- 住宅用火災警報器:早期発見のために全室設置が義務。点検・交換は火災警報器の設置と点検を参照
関連記事
この記事を書いた人
図解手帖編集部 編集部
暮らしの実用情報を1枚図解+解説でお届けする編集部です。公式・一次情報を出典に、断定を避けた正確な情報発信を心がけています。
よくある質問
- 揚げ物中に油が発火したらどう対応すればよいですか?
- ①すぐに火を止める(コンロの火を消す)②近くにあれば濡れたタオル・フタで鍋を覆う(酸素を遮断)③消火できなければ迷わず離れて119番通報——が基本の手順です。絶対にやってはいけないのは、水をかけることです。
- なぜ油火災に水をかけてはいけないのですか?
- 熱した油に水が触れると、水が一瞬で水蒸気に変わり体積が約1700倍に膨張します。この爆発的な蒸発で熱した油が飛び散り、広範囲に火災が拡大する危険があります。消火には酸素を遮断する方法か、油火災対応の消火器・消火スプレーを使います。
- 台所に置いておくとよい消火器はどれですか?
- 一般家庭では「ABC粉末消火器」または「強化液消火器」が油火災に対応しています。近年は小型の「エアゾール型消火スプレー」(台所用)も普及しており、コンロそばに置きやすいサイズです。ただし使用期限があるため定期的な確認が必要です。
出典・参考情報
防災カテゴリの他の記事
- 図解 読了 4 分
簡易トイレの備えと使い方|断水・避難時のトイレ問題を解決する基本
地震・台風・断水時に必要な簡易トイレの選び方・備蓄数の目安・正しい使い方・使用済みの処分方法を図解でまとめました。凝固剤タイプ・組み立て式など種類別の特徴も解説します。
- 図解 読了 3 分
モバイルバッテリーの発火を防ぐ|事故の85%が火災、夏のリコール確認と対処
リチウムイオン電池搭載製品の事故は5年間で1,860件、約85%が火災で6〜8月がピーク(NITE)。リコール対象品の確認方法、PSEマークの見方、高温対策、発火時の対処までを公式出典付きで図解整理します。
- 図解 読了 3 分
乳幼児・高齢者がいる家庭の防災|避難に時間がかかる家族の備え
乳幼児・高齢者・要介護者がいる家庭に特有の防災上の注意点を整理。避難行動要支援者登録・持ち出し袋の追加品目・福祉避難所の確認・薬・医療機器の備蓄方法など、一般の防災ガイドでは触れられない視点でまとめました。
広告・アフィリエイト等の取り扱いについては 掲載方針 をご覧ください。