モバイルバッテリーの発火を防ぐ|事故の85%が火災、夏のリコール確認と対処
リチウムイオン電池搭載製品の事故は5年間で1,860件、約85%が火災で6〜8月がピーク(NITE)。リコール対象品の確認方法、PSEマークの見方、高温対策、発火時の対処までを公式出典付きで図解整理します。
モバイルバッテリーなどリチウムイオン電池搭載製品の事故は、2020〜2024年の5年間で1,860件報告され、約85%(1,587件)が火災に至っています(NITE調べ)。事故は気温の上昇とともに増え、6〜8月がピーク。夏に入る前のいま、手持ちの製品を一度点検しておくのが効果的です。
なぜ夏に発火事故が増えるのか
リチウムイオン電池は高温に弱く、夏の車内や直射日光の当たる窓際など高温環境に置かれると内部の劣化が進み、発火リスクが高まります。NITEへの事故報告でもっとも多い製品はモバイルバッテリーで、電動アシスト自転車、コードレス掃除機、ポータブル電源が続きます。過去にはリコール対象のモバイルバッテリーが電車内で発火し、長時間の運転見合わせにつながった事例もあり、「自分の製品が対象かどうか知らない」こと自体がリスクになっています。
まずリコール対象でないか確認する
最優先は、いま使っている製品がリコール対象でないかの確認です。消費者庁「リコール情報サイト」(recall.caa.go.jp)で製品名・型番を検索できます。対象だった場合は直ちに使用を中止し、メーカーの案内に従って回収・交換を受けてください。リコール品は無償対応が原則なので、放置するだけ損です。確認するのはモバイルバッテリーだけでは不十分です。消費者庁は2026年7月、リコール対象のコードレスイヤホン(リチウムポリマー電池内蔵)で起きた火災を重大製品事故として公表しており、ワイヤレスイヤホンなど充電式の小型機器も同じサイトで検索できます。さらに7月24日には、電気掃除機用のリチウムイオン電池・ノートパソコン・高圧洗浄機(充電式)を含む重大製品事故が新たに公表されました。高圧洗浄機など屋外で使う充電式工具も対象になりうるため、屋外用の充電式製品を持っている場合もリコール情報サイトでの確認をおすすめします。「リコール中と知らずに使い続ける」ことの怖さを示す事例もあります。消費者庁は2026年7月3日、アンカー・ジャパンがリコール中のモバイルバッテリーで、2026年5月に2件の火災事故が発生したと公表しました。5月18日には宿泊施設で使用中に異音に気づいて確認したところ製品と周辺が焼損、5月25日には充電中に発煙し焼損する火災が起きています。回収・交換の案内が出ている製品でも、手元に置いたまま使い続けている限りリスクは消えません。2026年8月14日にも、アンカー・ジャパンが輸入したスピーカー(充電式)のリコール(回収・交換)対象品で、火災等11件の重大製品事故が新たに公表されています。さらに2026年9月4日には、同社がリコール中のモバイルバッテリー「A1263」(Anker PowerCore 10000、2022年12月25日〜2025年10月21日販売分)で、宿泊施設での充電中に製品と周辺を焼損する火災が起きたことが公表されました。回収・交換の対応を受けていない場合は直ちに使用を中止し、メーカーの窓口に連絡してください(ウェブ受付は同社サイトのリコール案内ページ)。同社製品はモバイルバッテリーに限らず対象になっているため、同社製の充電式製品を持っている場合はメーカーの案内やリコール情報サイトを確認してください。消費者庁は2026年9月25日にも、アンカー・ジャパンが輸入したリチウム電池内蔵充電器のリコール対象品について、火災等の重大製品事故が累計17件に達したと公表しました。回収・交換の案内が出た製品は、期間が経っても放置せず早めに手続きすることが重要です。さらに2026年9月25日には、モバイルバッテリー本体「Anker PowerCore 10000」(型番A1257)のリコール対象品について、令和7年度(2025年度)だけで新たに7件の発火事故が確認され、対象40万1771台のうち回収は9月24日時点で55.3%にとどまるとして、消費者庁が回収未了の利用者に改めて使用中止と速やかな連絡を呼びかけました。あわせて、本体にPSEマークがあるかも見ておきましょう。2019年2月以降、PSEマークのないモバイルバッテリーは販売できないルールになっています(経済産業省)。フリマアプリなどで出所不明の安価な製品を買うのは避けるのが無難です。
ふだんの使い方で気をつけること
日常では「高温」と「衝撃」を避けるのが基本です。夏の車内への置き忘れ、直射日光の当たる場所での充電・保管はやめましょう。また、電車やバスなど公共交通機関の車内での充電も避けることが推奨されています。万一発火した場合に大規模な影響が及ぶためで、鉄道事業者各社も車内充電を控えるよう呼びかけています。実際に2026年9月17日、JR阪和線の堺市駅に停車中の列車内でモバイルバッテリーが発火し、20代女性が煙を吸って救急搬送される事故が起きました。発火した車両を切り離し、列車は約19分後に運行を再開しています。車内で電源を使う際は、異常な発熱やふくらみがないか日頃から気をつけておくと安心です。落下などで強い衝撃が加わった製品は、外見が無事でも内部が損傷していることがあります。充電中は完全に放置せず、時々様子を見るのも有効です。飛行機に持ち込む際は別途ルールがあるため、モバイルバッテリーの機内持ち込みルールを確認してください。ノートパソコンの電池はノートパソコンのバッテリー安全、スマホ本体の電池はスマホ電池を長持ちさせるコツで扱っています。
異常のサインと発火時の対処
本体の膨らみ、異臭、充電中の異常な熱は使用中止のサインです。充電をやめ、可燃物から離して様子を見てください。万一発火した場合は、大量の水をかけ続けて冷やすのが基本で、消火後も再発火のおそれがあるため119番通報をためらわないこと。リチウムイオン電池の火災は一度消えたように見えても内部で反応が続くことがあります。停電復旧時の通電火災など、住まいの火災対策全般は通電火災を防ぐや防災の記事一覧もあわせてどうぞ。
スマートウォッチなど身につける機器も対象
発火事故の対象はモバイルバッテリーだけではありません。NITEは2026年7月、リチウムイオン電池搭載製品の事故を防ぐ「3つのC」(正しく購入する・正しく使用する・正しく対処する)を改めて呼びかけました。過去には、就寝中に腕にはめたままだったスマートウォッチが深夜に発火し、やけどを負った事例も報告されています。身につける・持ち歩く機器(スマートウォッチ、ワイヤレスイヤホン、加熱式たばこなど)も、モバイルバッテリーと同じく「正規販売店で購入」「高温下に放置しない」「異常があれば使用を中止する」を徹底してください(出典:NITE)。
スマートフォン本体の発火にも注意
「モバイルバッテリー」に限った話ではありません。消費者庁は2026年9月4日、Google「Pixel 6a」(型番GA03714-JP)の発火事故を消費生活用製品安全法に基づく重大製品事故として公表しました。2025年6月29日、大阪府内でサードパーティ製のUSBケーブル・ACアダプターを使って充電中に発火し、本体と周辺が焼損、1人が軽いやけどを負ったというものです。電池セルの過熱が疑われますが、損傷が激しく詳しい原因は特定できていません。スマホ本体の内蔵電池も、モバイルバッテリーと同じリチウムイオン電池です。純正または認証済みのケーブル・充電器を使い、極端に安価なサードパーティ製品との組み合わせは避けること、充電中に本体が異常に熱くなったらただちに充電をやめることが基本の対処です。スマホ電池を長持ちさせる日常のコツはスマホ電池を長持ちさせるコツにまとめています。
【2026年9月追記】検査義務化へ、規制が強化される見通し
経済産業省は2026年8月31日、モバイルバッテリーについて第三者機関による適合性検査を義務化する方針案を示したと報じられました。現行の自己確認(丸PSE)から、危険度の高い製品向けの「ひし形PSE」区分へ移行する内容で、2027年3月の施行を目指すとされています。何が変わるのかはモバイルバッテリー検査義務化で何が変わるに整理しました。
NITE監修「夏に危険な扱い6選」
ChargeSPOT(InFoRich)がNITE監修で実施した調査(2026年6月)では、モバイルバッテリーの危険な扱いを経験したことがある人が約4割に上り、事故件数は8月がピークと判明しました。NITEが特に危険とするNG行動は以下の6つです。
①直射日光の当たる場所に置く(夏の車内・窓際が代表例)、②充電しながら布団や枕の上で使用(熱がこもる)、③充電完了後も接続し続ける(過充電)、④落下・圧迫などの強い衝撃を与えた製品をそのまま使用、⑤リコール対象品かどうか一度も確認したことがない(調査では18%が未確認)、⑥膨らんでいるバッテリーを使い続ける(ガス膨張は発火直前のサイン)。
この6つのうちひとつでも当てはまるなら、今日中に見直しておくことをおすすめします。特に「リコール対象か確認したことがない」という点は、消費者庁リコール情報サイト(recall.caa.go.jp)で型番検索するだけで解決します。
夏前の点検は「リコール確認」「PSEマーク」「置き場所」の3つだけでも効果があります。今日5分で済ませておきましょう。
詐欺・防犯まとめ:この記事は詐欺・防犯まとめの一部です。手口を知る・被害に遭ったときの対処・ふだんの守りまでを一覧で整理しています。判断に迷うときは、お金を動かす前に消費者ホットライン188(いやや)・警察相談専用**#9110**(緊急時は110番)へ。 製品の回収・事故情報は、消費者庁「リコール情報サイト」やNITEで確認できます。
この記事を書いた人
図解手帖編集部 編集部
暮らしの実用情報を1枚図解+解説でお届けする編集部です。公式・一次情報を出典に、断定を避けた正確な情報発信を心がけています。
よくある質問
- 自分のモバイルバッテリーがリコール対象か調べるには?
- 消費者庁「リコール情報サイト」(recall.caa.go.jp)で製品名や型番を検索できます。メーカーの公式サイトのお知らせ欄も合わせて確認すると確実です。対象品は使用をやめ、案内に沿って回収・交換を依頼してください。
- 膨らんだバッテリーはどう処分すればいい?
- 内部のガスで膨らんだ電池は発火の危険があるため、可燃ゴミに出さず、自治体の案内に従って処分します。多くの地域では家電量販店などの回収ボックスや自治体の拠点回収が利用できます。穴を開けたり潰したりするのは厳禁です。
- 充電しながらスマホを使うと危険?
- 通常の使用範囲なら直ちに危険とは言えませんが、布団の上など熱がこもる場所での充電や、就寝中の枕元での充電は避けるのが安全です。NITEは充電中に異常がないか時々様子を見ることを推奨しています。
出典・参考情報
- https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2025fy/prs250626.html
- https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/mlb_faq.html
- https://www.recall.caa.go.jp/
- https://www.caa.go.jp/notice/entry/046910/
- https://www.caa.go.jp/notice/entry/047009/
- https://www.caa.go.jp/notice/entry/046839/
- https://www.caa.go.jp/notice/entry/047197/
- https://www.caa.go.jp/notice/entry/047427/
- https://www.caa.go.jp/notice/entry/047620/
- https://www.caa.go.jp/notice/
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