車中泊避難の注意点|エコノミークラス症候群
災害時の車中泊避難で注意したいのがエコノミークラス症候群です。血栓予防の基本に加え、暑さ寒さ対策、積雪時の一酸化炭素中毒の防ぎ方、車に積んでおく持ち物リストまで1枚図解で整理します。
災害時にやむを得ず車中泊で避難するとき、注意したいのがエコノミークラス症候群です。狭い座席で長時間動かないと、血の固まり(血栓)ができやすくなります。厚生労働省も予防を呼びかけています。こまめに動き、水分をとることが基本です。
なぜ車中泊で起こるのか
水分を控えて狭い座席に座り続け、足を動かさないと血行が悪くなり、血栓ができやすくなります。それが肺に詰まると重い症状(肺塞栓)を引き起こすことがあります。過去の災害でも、車中泊避難での発症が問題になりました。
血栓を防ぐ5つの基本
- こまめに体を動かす:かかとの上下、足の指の運動、ときどき車外で歩く
- 水分を十分にとる:トイレを我慢して水分を控えるのは逆効果
- アルコールを控える:利尿作用で脱水を招き、血栓のリスクを高める
- ゆったりした服装で:ベルトをきつく締めず、眠るときは足を上げる
- 横になれる工夫を:座ったままより、シートを倒して足を伸ばす
暑さ・寒さ対策
車内は外気の影響を強く受けます。夏と冬では危険の種類が違うため、分けて備えます。
夏:熱中症を防ぐ
- 直射日光を避けられる日陰に駐車し、サンシェードで遮光する
- 窓を数センチ開けて風の通り道をつくる(網やタオルで虫よけを)
- 水分と塩分をこまめに補給する。車内の温度は想像以上に上がります
- 子どもや高齢者を車内に残して離れない。短時間でも危険です
冬:低体温を防ぐ
- 毛布・寝袋・カイロなどエンジンに頼らない防寒を基本にする
- 服を重ね着し、首・手首・足首を温める。床からの冷えには断熱マットや段ボールが効きます
- エンジンをかけたまま眠らない。燃料の消耗に加え、次に述べる一酸化炭素中毒の危険があります
一酸化炭素中毒を防ぐ(積雪時の排気)
冬の車中泊で最も命に関わるのがこれです。積雪でマフラー(排気口)がふさがれると、排ガスが車内に逆流し、一酸化炭素中毒を起こします。一酸化炭素は無色・無臭で、気づかないまま意識を失う恐れがあります。
- 降雪中はこまめに車の周り、とくにマフラー周辺を除雪する
- 吹きだまりになりやすい場所(建物の陰・壁際)への駐車を避ける
- 換気のため窓を少し開ける場合も、眠るときはエンジンを止めるのが原則
- 頭痛・吐き気・めまいを感じたら、すぐエンジンを止めて車外の空気を吸い、症状が続けば受診を
車中泊の持ち物リスト
避難してから揃えるのは困難です。日頃から車に積んでおけるものを中心に。
| 分類 | 品目 |
|---|---|
| 命を守る | 携帯トイレ(最重要・水分を我慢しないため)、飲料水、モバイルバッテリー |
| 寝る | 毛布または寝袋、断熱マット・段ボール、ネックピロー、アイマスク・耳栓 |
| 温度対策 | カイロ、サンシェード、うちわ、網戸代わりのネット |
| 衛生 | ウェットティッシュ、ごみ袋、マスク、常備薬 |
| 情報・その他 | 車載充電器、ラジオ、懐中電灯、笛(救助要請用) |
あわせて、燃料は常に半分以上を心がけると、災害時の暖房・移動・充電の余力になります。車中泊はあくまで一時しのぎです。長引きそうなら避難所生活の基礎知識や在宅避難の基本と組み合わせて、無理のない避難先を検討してください。
やってしまいがちな失敗
「トイレに行きにくいから」と水分を控えるのが、最も危険な行動です。これは血栓のリスクを高めます。携帯トイレを用意し、水分はしっかりとりましょう。冬にエンジンをかけたまま就寝するのも重大事故のもとです。胸の痛み・息苦しさ・片脚の腫れが出たら、すぐ受診を。
次の一手
今日できる備えは、携帯トイレを1セット車に積むことです。これがあるだけで「水分を控える」最悪の選択を避けられます。停電と組み合わさる災害も多いため、停電への備えと対応も合わせて確認を。
情報の正確性について:本記事は厚生労働省の情報にもとづく一般的な予防の知識です。症状がある場合は自己判断せず、速やかに医療機関を受診してください。
車に常備しておく装備の全体像は車に積む防災セットで分類ごとに整理しています。
この記事を書いた人
図解手帖編集部 編集部
暮らしの実用情報を1枚図解+解説でお届けする編集部です。公式・一次情報を出典に、断定を避けた正確な情報発信を心がけています。
よくある質問
- エコノミークラス症候群とは何ですか?
- 水分を十分にとらず、狭い座席に長時間座って足を動かさないでいると、血行不良で血の固まり(血栓)ができやすくなり、それが肺などに詰まって重い症状を引き起こす状態です。災害時に車中泊避難をした人に起きた例が知られています。
- 車中泊で予防するにはどうすればよいですか?
- 厚生労働省は、ときどき軽い体操やストレッチをする、こまめに水分をとる、アルコールを控える、ゆったりした服装でベルトをきつく締めない、かかとの上下運動やふくらはぎを軽くもむ、眠るときは足を上げる、などを勧めています。可能ならシートを倒して足を伸ばし、横になれる工夫をしましょう。
- どんな症状が出たら注意が必要ですか?
- 胸の痛みや息苦しさ、片方の脚の腫れや痛みなどが現れたら、エコノミークラス症候群の可能性があります。我慢せず、すぐに医療機関を受診してください。
- 雪の日にエンジンをかけたまま休んでも大丈夫ですか?
- 危険です。積雪でマフラー(排気口)がふさがれると、排ガスが車内に逆流して一酸化炭素中毒になる恐れがあります。一酸化炭素は無色無臭で気づけません。降雪時はこまめにマフラー周りを除雪し、眠るときはエンジンを止めて防寒具で寒さをしのぐのが基本です。
出典・参考情報
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