ダムの緊急放流とは?発表されたらどうする|「異常洪水時防災操作」を図解で整理
台風や大雨のニュースで聞く「ダムの緊急放流」。正式には異常洪水時防災操作といい、満水に近づいたダムが流入量と同じ量を放流する操作です。ダムが決壊するわけではありませんが、下流の水位が急に上がるおそれがあります。発表から放流開始までの流れと、住民が取るべき行動を1枚図解で整理しました。
「ダムが緊急放流を行う可能性があります」という発表は、下流の水位が急に上がる前触れです。 緊急放流はダムの決壊ではなく、満水に近づいたダムが「流れ込む量と同じ量」を流す操作ですが、それまでダムが受け止めていた水がそのまま下流に流れるため、危険度は一段上がります。この記事では、しくみと発表後の行動を整理します。
緊急放流とは──正式名は「異常洪水時防災操作」
国土交通省の防災用語では、緊急放流の正式名称は異常洪水時防災操作です。計画を超える大雨でダムの貯水位が上限に近づいたとき、放流量をダムへの流入量と同程度まで増やす操作を指します。ダムに水を貯める余力がなくなるため、これ以上ためて危険な状態になる前に「入ってくる量をそのまま流す」状態に移行するものです。
誤解されやすい点が2つあります。第一に、ダムが壊れるわけではありません。むしろダムを守り、決壊というより大きな被害を防ぐための操作です。第二に、貯めた水を上乗せして一気に流すものでもありません。放流量は流入量を超えない範囲で行われます。それでも、洪水調節が効かなくなるため下流の水位は急上昇するおそれがあり、警戒が必要な状況であることは変わりません。
発表から放流開始までの流れ──目安は「3時間前」と「1時間前」
国土交通省の要領では、緊急放流を行う場合、おおむね3時間前と1時間前を目安に関係市町村・関係機関へ連絡することとされています。住民へは、市町村からの避難情報、防災行政無線、河川沿いのサイレンなどで伝えられます。
つまり、ニュースやスマホの通知で「緊急放流の可能性」を知った時点で、放流開始までの持ち時間は長くて数時間です。雨の状況によっては前倒しになることもあるため、発表を待たずに動き始めるのが安全側の判断です。
発表を知ったらやること──4ステップ
①対象の川と自宅の位置関係を確認する。 放流されるダムの下流に自宅・職場があるかを確かめます。浸水想定区域かどうかはハザードマップの確認方法で調べられます。
②自治体の避難情報を確認する。 緊急放流が見込まれる地域には、市町村から高齢者等避難(警戒レベル3)や避難指示(警戒レベル4)が発表されるのが一般的です。レベルごとの動き方は警戒レベルの読み方に整理しています。
③放流開始前に、川沿い・低地から離れる。 水位が上がってからの移動は危険です。明るいうち・雨が弱いうちに、浸水しない場所へ移動を済ませます。
④開始後は川に絶対に近づかない。 様子を見に行くのは最も危険な行動です。移動そのものが危険なら、建物の2階以上へ移る垂直避難に切り替えてください。
大雨情報とセットで判断する
緊急放流は単独で起きるものではなく、記録的な大雨の中で発表されます。雨の危険度はキキクル、大雨情報の段階は線状降水帯の情報が出たらどうする、内水氾濫のリスクは内水氾濫の基礎とあわせて確認してください。防災の情報は防災カテゴリにまとめています。
※本記事は国土交通省「川の防災情報」用語集などの公表資料をもとにした一般的な整理です。実際の避難はお住まいの市町村の避難情報に従ってください。
この記事を書いた人
図解手帖編集部 編集部
暮らしの実用情報を1枚図解+解説でお届けする編集部です。公式・一次情報を出典に、断定を避けた正確な情報発信を心がけています。
よくある質問
- 緊急放流が始まると、ダムが貯めた水が一気に流れてくるのですか?
- いいえ。緊急放流(異常洪水時防災操作)は、ダムに流れ込む量と同じ程度の量まで放流を増やす操作で、流入量を超える水を上乗せして流すものではありません。ただし、それまでダムが受け止めていた分の水がそのまま下流に流れるため、下流の河川水位が急に上がるおそれがあります。「貯めた水を一気に流す」わけではなくても、危険な状況であることに変わりはありません。
- 緊急放流はどれくらい前に知らされますか?
- 国土交通省の要領では、実施のおおむね3時間前と1時間前を目安に、ダム管理者から関係市町村や関係機関へ連絡することとされています。住民へは市町村の避難情報、防災行政無線、河川沿いのサイレンや警報車などで伝えられます。ただし雨の状況によって時間が前後することがあるため、「連絡が来てから考える」のではなく、大雨の時点で早めに行動を始めてください。
- 放流が始まってからでは避難できませんか?
- 状況によります。放流開始後は下流の水位が上がっていくため、川沿いや低い土地の移動はかえって危険になることがあります。屋外への移動が危険だと感じたら、無理に避難場所へ向かわず、近くの建物の2階以上など少しでも高く浸水しにくい場所へ移る垂直避難で身の安全を確保してください。
出典・参考情報
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